先日、仕事のなかでアルムナイという言葉があることを知りました。
アルムナイとは、元々同窓生とか、仲間と言った意味を持っていて、
転じて会社を退職後もその会社と関わりを持ち、会社にとっては再雇用などに繋げるという戦略のことを指すんだそうです。
え、これって、私のこと?
って思いました。
というのも、私も新卒の会社に出戻った経験の持ち主だからです。
ではそんな経験者の私がアルムナイのメリットデメリットについて考えてみたいと思います。
思わずググる。アルムナイとは?
アルムナイという新種の動物のような新しい言葉を聞いたわたし。
ついつい、ググりました。
「アルムナイ」(alumni)はalumnusの複数形で、本来は「卒業生、同窓生、校友」の意味。転じて、企業の離職者やOB・OGの集まりを指します。海外では、企業が一度は自社を離れたアルムナイを貴重な人的資源としてとらえ、これを組織化し活用する事例が少なくありません。元社員に対して会社側が継続的にコミュニケーションをとり、優秀な人材の再雇用につなげるなどの施策を「アルムナイ制度」と呼び、近年は日本でも注目を集めています。
ということで、現在人材不足に直面している日本企業の多くが、これまでは退職とともに縁が切れていたり、あるいは裏切り者のような扱いをされていた退職者を「卒業生」と考え、人材資源として活用していくという戦略のことのようです。
なるほど。
企業側にとってはそのように「会社の卒業生」とつながりを持っておくことで
人事面・採用面でメリットができる可能性はありそうです。
でも、この言葉ですが、採用面のメリットがネットでもフォーカスされがちで、
アルムナイ側、つまり卒業生側のメリットがあまり語られてないなぁと感じました。
私は新卒で入社した会社に出戻る、いわゆるアルムナイをした人間ですが
そこで感じたメリットとデメリットを紹介していきますね。
アルムナイで雇用される側のメリットとは?
アルムナイで雇用される側として、私が感じたメリットは以下の通りです。
- 社内システム等が分かっているので業務に慣れやすい
- 人間関係がある程度構築されているので、人間関係のストレスが少ない
- 雇用条件に交渉出来る余地が大きい
これら三点について、ひとつずつ見ていきますね。
メリット①社内システム等がわかっているので業務になれやすい
私のしていた仕事はアパレルの「ディストリビューター」という仕事です。
簡単に言うと、商品の店舗別配分数量を決める人。
それから、消化状況を確認して、より元の値段でお客様に買っていただけるように
商品の店舗間移動を行ったり、割引率を決めたりするという仕事です。
この仕事の場合、それぞれの会社によっておそらく独自の社内システムが配備されており、私のいた会社でも同様に独自の配分システムが導入されていました。
つまり、まったくの未経験で仕事をする人よりも、この社内システムがわかっているだけでそこを教えてもらう手間、慣れる手間が全くないので
ブランクの間に変わったシステムや社内事情のみ教えてもらえばすぐに仕事ができるというメリットがあるのです。
実際私も、数日で新システムに慣れましたし、「ここは変わってない!」ポイントもあるので、その辺はガンガン初日から業務をこなせて、
はぁ~出戻るってなんて楽なんだ!!と思いました。
ましてや、出戻りは子供ができてからだったので、子育てに忙殺されつつ、
新しいことを全くゼロからやっていくというのは正直無理だったと思います。
その点でも、非常に良かったなと思っています。
また、仕事に就く際も、通常少しでも経験があった仕事でも会社が違えばスタンスも動き方も多少変わりますから
そういった面でも周りの様子を伺いながらベストな働き方、提案の仕方などを模索する必要がありますが
前にいた会社であれば空気感が分かっているのでそういったアクションはほぼ必要ないと言っていいでしょう。
(メンバーも経営陣もすべて一新されている、という場合は抜きにして・・・)
メリット②人間関係がある程度構築されているので、人間関係のストレスが少ない
これも出戻りならではのストレス軽減ポイントです。
新しい人間関係はワクワクする半面、どんな人か分からないからいろいろ気を使いますよね。
そういった「気を使う人数」が少ないということも出戻りのメリットかなと感じます。
もちろん自分がいなかった間に新しく入ったメンバーとの人間関係の構築は必要なのですが
私が出戻ったときには、「○○さんって、どんな人なんですか?」と、直接前々からお世話になっている先輩に聞きました(笑)
そういったことができたので、ほかのメンバーの人ともスムーズに打ち解けられましたし、
私は4年ブランクがあって出戻ったのですが
え、そんなにいなかったの?と言われることもしばしばでした。
メリット③雇用条件に交渉出来る余地が大きい
実はこのメリットは私が受けられなかった恩恵なのですが、
多くの出戻りの人はこの恩恵を受けているだろうと感じていたので書きました。
私同様、同じ会社に出戻った先輩がいました。
その方は、ほかの会社の転職活動を平行してされていて、一番報酬の良いところに決めるという方針を会社に伝えて交渉していた、ときいたことがあります。
どういうことか説明します。
出戻る会社はその人の働きぶりをある程度理解しています。
他社さんは転職活動で先輩のプレゼンを聞いて、出戻る会社より多くの報酬を提示するというラッキーなパターンが発生すると
もし出戻り先が人手不足なら、もう少し高い報酬を出しても戻ってきてほしいと考え、報酬額がアップするということが起こるようです。
これも、それまでの働きぶりを知っている出戻りだからできる技かなと感じます。
私の場合、保活と並行して転職活動していたので転職に苦戦したということ、
求職中ランクで息子を保育園に入園させたので、就職する時間的なリミットがあったことで
この技は全く使えませんでした。。残念。
アルムナイで雇用される側のデメリットは何か?
アルムナイは雇用される側に、当然デメリットもあります。
(と、私は思っています・・・)
それは何かというと、次の通りです。
- 自分に負荷をかけすぎて、業務と報酬が割に合わなくなる
- 人間関係が深いからこそ、次の転職や昇給交渉、スキルアップがしづらい
それぞれについて、また詳しく見ていきます。
デメリット①自分に負荷をかけすぎて、業務と報酬が割に合わなくなる
実は私は出戻った会社を先日退職したのですが、このデメリットが一番の要因だったと思っています。
私が出戻った後、私は成果をある程度上げているつもりだったのですが、それが評価されなかったという思いが大きくありました。
子供がいながらだったので、勤務時間も短かかったのですが
新卒の時より業務スピードや効率はUPしているので、出勤できれば何とか回っていました。
が、子供が風邪ひかれちゃうと出勤できない。
でもこの業務知っているの私だし、やらなきゃまずい。
で、子供の風邪で欠勤しているのに家で仕事する羽目になりました。
ここもマネジメント・交渉すれば自分の力をアピールできたのかなとも後になれば思いますが、
この点が時給交渉のテーブルに上がらず、欠勤したことで単純に評価が下がっているような評価シートを渡されたことが結構苦しかったです。
私のように、自分の私生活の状況が変化して出戻っている人は、特に気を付けたほうがいいポイントだと思います。
「どのくらい業務量がこなせて、どこからが難しいのか、
その代わり提供できるアウトプットは何なのか
それが達成された場合は、欠勤しようとしなかろうと、きちんと評価してほしい」
この辺を上司とすり合わせ・交渉できていなかったことがまずかったと思いますし、
「前々から知っている人だから、その辺は考慮してくれるだろう」
という私の甘い考えがあったからこそ招いたトラブルとも言えます。
産休育休を経て復帰されるママさんにも言えることだと思いますので、ぜひお気をつけください…
デメリット②人間関係が深いからこそ、次の転職や昇給交渉、スキルアップがしづらい
ここも、勝手知ったる出戻りだからこそ発生した問題点でした。
デメリット①でご紹介したように、頑張っているはずなのに評価されない、という苦しさを感じていた私は、実際に転職活動をはじめようかと考えました。
が、やっぱりお世話になった方、出戻りを歓迎してくれた方のことを思うと踏ん切りつかないなと思う時期が、正直1年ほどありました。
それでも、子供が二人になり、欠勤が続き、有休もあっと言う間になくなり(付与1か月で消化…)
だったら、在宅勤務をうまく使ったり、もっと時給の良いところに移った方がいい
と思ったことで、踏ん切りがつきました。
ぎりぎりまで我慢しちゃってましたね。
このように、ある意味で情が会社に対しても出てきてしまうので、
出戻りの再転職って、なかなか難しいと思います。。
また、これは私が子連れという制約付きの出戻りだったことも要因としてあると思うのですが
昇給条件や、新しいスキルなどを得たいとしっかりと交渉する機会を設けないと
なぁなぁになりがちだということも挙げられます。
実際に私はそのような形でいつまでも同じ仕事をしていたので、
このまま40、50代になっちゃまずいなという危機感も働いて転職に踏み切りました。。
アルムナイは上手につきあう。きちんと条件交渉することが大切!
という訳で、採用される側からのアルムナイについて考えてみました。
愛着のある会社だからこそ、卒業してもかかわりをもつことも多いでしょうし、
そのうえでの出戻りという形もあると思います。
ただし、情だけで何となく戻ると、自分にとってプラスにならないこともあります。
人生100年と言われる時代に、仕事がキャッチアップできる環境になるよう、
あらかじめの準備と就業後の継続した交渉がカギだな、と私は感じました。
皆さんも、もし機会があるようなら、楽しく充実したアルムナイ送ってくださいね!